慢性腎臓病(CKD)とは、「腎臓の障害」もしくは「腎機能低下」が3か月以上持続している状態の総称です。
「腎臓の障害」とは「蛋白尿」や「腎形態異常」を指し、「腎機能低下」とは「糸球体濾過量 60ml/min/1.73㎡未満」を指します。
慢性腎臓病(CKD)は、生活習慣とも関連しており、その発症進展予防には食事管理、適度な運動、禁煙といった生活習慣の改善が大切です。
無症状のうちに腎機能低下することが多いため、早期診断、早期治療開始が重要となります。
糸球体
腎臓の重要な働きのひとつに血液中の老廃物などを「ろ過」し、尿として排出する働きをしているのが糸球体です。
尿細管
糸球体でろ過された尿(原尿)は、ほとんど体内に再吸収されることになります。この再吸収する働きをするのが尿細管です。
原尿には、老廃物以外にさまざまなミネラル(電解質)も含まれています。このような身体にとって必要な成分を再吸収することにより、体内の水分量を一定に保
ったり、ミネラルのバランスを調整したりにすることができるのです。
ホルモン
腎臓には各種ホルモンを産生する役割があります。
①エリスロポエチンは赤血球の産生を亢進させます。
②カルシウムとリンの吸収に関与するビタミンDは腎臓で活性化されます。
③レニンという血圧調節ホルモンは、腎動脈に狭窄があると、腎臓への血流が低下するために、レニンの産生が亢進し、高血圧となります。
その他
腎臓は身体の水分の量や体液中の様々なミネラルの濃度を調整する働きをしています。
腎臓がミネラルを調整できるように、骨は体内にあるカルシウム、リン、マグネシウム、ナトリウムを貯蔵しており、必要に応じて調整を行っています。
浮腫(むくみ)
腎臓から水分を十分排泄できなくなり、体内に余分な水分がたまっている状態です。むくみは腎臓以外の原因でもみられます。
尿量
腎臓の機能が低下すると、尿の濃縮力が低下して多尿となり、夜間頻尿になることが多いですが、さらに腎機能低下が進行すると、尿量が低下します。
その他、主な多尿の原因としては、糖尿病、尿崩症、心因性多尿、ミネラルの異常などがあります。
だるさ
だるさは腎不全により尿毒症物質が蓄積したことにより起こる尿毒症症状の一つとしてだるさが認められることがあります。
そのほかにも心不全が悪化したときや電解質異常などのさまざまな要因があります。
貧血
腎臓の機能が低下すると腎臓がエリスロポエチンを十分に分泌させることができなくなり、赤血球の産生能力が低下します。
かゆみ
腎臓の病気の時もかゆくなります。腎臓は体の中や血液の老廃物を尿へ捨てる臓器ですので、腎臓が悪くなると老廃物が血中や皮膚にたまってしまいます。
それら老廃物は皮膚の中にあるかゆみ受容体を刺激し、かゆみを感じます。また、腎臓が悪くなると皮膚が乾燥しますが、これもかゆみの原因となります。
尿検査
慢性腎臓病は早期に見つけることが重要です。多くの場合、慢性腎臓病では自覚症状は出にくいため、早期発見には尿検査が欠かせません。
簡単な検査ですがとても大切な検査です。
血清クレアチニン
腎臓の機能が悪化し、尿への排泄量(GFR)が低下すると、血清クレアチニン値が上昇します。ただし、腎機能の働き以外でも変化することがあります。